
Jean Prouvé

ジャン・プルーヴェ(Jean Prouvé)は、建築においても家具デザインにおいても、構造を重視していました。彼の代表作である「スタンダード」の前脚には細い鋼のチューブ、より重さがかかる後脚には、太さをもたせた中空の鋼板が用いられています。自らを「建設家」と称したジャン・プルーヴェ は、生涯を通じ、デザイナーであるとともにエンジニアであり、製造も自らの手により行っていました。
ジャン・プルーヴェは、鍛冶工としての経験を積んだ後、1924年にナンシーで自身の工房を開きました。しかし、会社の規模が大きくなるにつれて、利益を追求する株主との間で意見の相違が起こり、1953年には自身の会社を手放すことになりました。その後数十年の間プルーヴェは、パリに建設される多数の建築プロジェクトにおいて、コンサルティングエンジニアを任され、1971年には、ポンピドゥー・センターのデザインコンペのトップとして、レンゾ・ピアノとリチャード・ロジャースのデザインを選出し、再び建築史にその名を刻みます。ジャン・プルーヴェの作品は幅広く、レターオープナーからドアや窓の部品、 照明、家具、プレハブ住宅、建築モジュラーシステム、大規模な展示の設計に至るまで工業生産が可能なほぼすべてを網羅していると言えます。